歯医者に初めて行く人たちは、とても緊張するに違いありません。自分の歯はいったいどうなってしまうのだろうか、そして治療にはどのくらいの時間がかかるのだろうか、あれこれと最悪を想定することもあるに違いありません。そのような中で初診の場合には特別な紙に自分の体のことを記入するように求められることがあるかもしれません。それはアレルギーや治療に関してなんらかの副作用があるのかどうかということを見極めるためですし、なんらかの治療によるトラブルを避けるためなので、必要なことです。また麻酔治療をするようなことがあれば、その麻酔をしても問題がないかどうか、などいろいろな情報を知らせることになるでしょう。そうした情報を元に治療を進めていくことになるので、正直に自分の体に関してなにか懸念されることがあればそれを記入することができるでしょう。歯医者治療は、多くの場合複数回に及び、数ヶ月かかることも少なくありません。

歯医者には昔からあまり良い思い出がありません。小さい頃はとにかく待ち時間が長く、何をするわけでもなく待っていなければならないのが苦痛で仕方がありませんでした。小学生くらいからは、学校帰りにひとりで歯医者へ行くようになりましたが、大人に囲まれながら待合室にいるのもなんだか不安だったことを覚えています。おまけに治療もすごく痛くてこわいという記憶ばかり。そんなわけで、大人になってからも私にとって歯医者さんというのは苦手な場所でした。だけどそうは言っても虫歯ができれば行かないわけにもいきません。ところが、学生時代に長く放置していた虫歯を治療するため、何年かぶりに歯医者に行ったときには、あまりにもスムーズに治療に案内されて驚いてしまいました。しかも、治療自体もまったく痛くないんです。歯医者さんも進化しているんだなあとしみじみしてしまいました。ただ単に私が大人になったというだけのことかもしれないんですけどね。

「歯医者のにおいが嫌い」という人もいますけれど、私はその逆で歯医者のにおいがたまらなく好きですね。あの歯医者さん特有の薬品のにおいが好きなんです。歯医者さんに行くと深呼吸をしてしまいたいぐらいに、歯医者さんのあの薬品のにおいは良いですね。けれども、歯の型を取るためにくっつけるゴム製のなにかのにおいは嫌いなんですよね。歯医者さん全体から漂う薬品のにおいはとても好きなものの、口の中にびろーんと張り付けられるゴム製の型取りのニオイはダメですね。しかも口の中ですからダイレクトににおいを感じてしまうのです。しかし繰り返しますが、歯医者さん全体に漂う薬品のニオイは好きなんですよね。ですからあの独自のニオイをかげるので歯医者さんに行く足取りだって軽くなるという、近所の小学生たちとは真逆の大人になっています。小さい頃から歯医者さん薬品臭が好きな傾向はありましたけれど、大人になってもその好みは健在していますね。

山形 歯医者